このページでは、研磨加工に使用される砥石の構成要素について説明しています。砥石を構成する3つの要素「砥粒」「結合剤」「気孔」、それぞれがもつ役割をみていきましょう。
砥石は、砥粒と比較すると「粗削りにしか利用できない」といったような認識が、かつてはありました。けれども、現在の進化した砥石は、高精度の研磨加工をすることが可能です。砥粒を使用して加工する場合には、準備や後処理に手間がかかることがありますが、砥石ならばそういった手間をかなりはぶくことができます。また、手間をはぶくことによる加工時間の短縮に加え、実はコストカットにもつながるのです。
砥石の構成要素を把握することで、砥石を使用した研磨が、どのような仕組みになっているのかがわかります。単なるかたまりのようにみえる砥石ですが、拡大して見てみると「砥粒」「結合剤」「気孔」の3要素によって構成されていることがわかります。これらの要素がどのようなバランスになっているかによって、その砥石の性能が決まります。
それぞれの要素がもつ役割は、次のとおりです。
砥粒は、いわば刃物としての役割を担っています。砥石がザラザラとした質感をもっているのは、この砥粒によるものです。ワークより硬くなくてはならないため、ダイヤモンドや炭化ケイ素などの物質が使われていることが多いです。尖った形をしたこれらの物質が、砥粒、つまり刃物となってワークを加工しているわけです。
また、砥石を使用しているうちに、砥粒の尖っていた部分の角がなくなっていきます。そうなると当然、ワークを削る力が弱くなります。けれども、そのタイミングで砥粒は脱落し、その下から次の砥粒が現れます。同じ砥石で加工を一定期間以上続けることができるのはこのためです。
砥石の「削る力」をキープする役割をもっているのが結合剤です。適度な結合剤の力により、角がとれた砥粒がちょうどよいタイミングで脱落していきます。結合剤の力が強すぎると砥粒が脱落しないため、砥石の削る力が弱まってしまいます。
また、結合剤の剛性も大切な要素です。剛性が高い場合には、ワークへ強い力を加えてで押し付けることが可能になるため、荒削り加工をしやすくなります。一方、弾性のある結合剤の場合には、ワークに対してソフトに力を加えることが可能になるので、例えば、表面の状態に変化を加えるような加工に向いているといえます。
結合剤と砥粒の間にある細かいすきまのことを、気孔と呼びます。砥石でワークを削るときに発生する削りかすが、砥石とワークの間に残ったままの状態では、ワークおよび砥石が高温化したり、ワークにキズをつける原因となったり、あるいは砥石の削る力が弱まったりするなどの事態を招いてしまいます。
けれども、気孔があれば、そこから削りかすが排出されます。さらに、研磨面の高温化を避けるための「クーラント」を研磨面に運ぶ役割も、気孔が担っています。
適切な砥石を選ぶことは、コストパフォーマンスをアップするためにも、そして仕上がりの質を考える上でも、とても大切なプロセスのひとつです。さらに、研磨加工における生産性に大きな影響を与えるといっても過言ではありません。さまざまな砥石をどのように使い分けるべきか、その基準について「ワーク」「素材」「使用する機械」の3つの視点からみていきましょう。
ワークの材質に応じて金属用砥石・樹脂用砥石・木材用砥石・ガラス用砥石などを使い分けますが、それぞれの砥石はさらに細分化されています。たとえば、金属用砥石とひとくちにいっても、ワークの硬さや合金の構成によって、適した砥石は「鉄鋼用」「軟質金属用」「ステンレス用」などのタイプにわかれます。
使用されている素材も検討材料となります。砥粒の主な素材としてはダイヤモンド、CBN、アルミナ、炭化ケイ素などが挙げられます。また、結合剤の場合は、レジノイド、ゴム、ビトリファイド、メタルなどです。
砥石は、サイズが規格化されているものとオーダーメイドで製造される場合が多いものとに分かれます。前者の場合は、ベンチグラインダーやハンドグラインダーといった自由研磨向けの砥石です。後者は、バーチカル研磨機やラップ研磨機に使用される砥石です。
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