研磨加工では、対象物を磨きあげる過程で細かいくず(切り粉)や粉じんが発生します。高温をともなう加工のため火花も発生し、安全かつ効率的にくずを吸い込む集塵機が役立ちます。ここでは、集塵機の特徴と研磨加工に集塵機が活用された事例を紹介します。
集塵機とは、さまざまな作業で発生するちり・くずを回収するための機械です。現場の作業を明瞭化し、安全に作業を進めるためにも集塵機は欠かせないものです。
集塵機には「重力集塵機」「慣性力集塵機」「サイクロン集塵機」「湿式集塵機」「ろ過集塵機」「電気集塵機」などがあり、慣性力やろ過など多彩な方法で切り粉や粉じんを機械の中の集塵室と呼ばれるスペースに蓄積させていきます。
空気中に舞い散っている粉じんなどは吸い込むだけでは捕集しきれない場合があり、フィルタでろ過・捕集したり、発生した気流に水などを吹き付けたりして、細かい粉じんを捕集します。
研磨工程の場合、切り粉や粉じんに加えて火花が発生するため、研磨対応の集塵機でなければなりません。また製品に油分があると、ダクトやフードの中に油が付着し、吸い込んだ火花によって火災が発生するリスクにも注意が必要です。
研磨加工において、集塵機が実際に活用された事例を2つ紹介します。
吉田工業は、有害ガスや粉じんに対して適切な局所排気装置を製作、施工している会社です。公害防止のトータルメンテナンスを行うことを掲げ、SDGsも踏まえた事業活動を行っています。
精密部品の製造を行うS社の集塵機が油分を含んだ研磨に対応しておらず、火花が発生して油が燃えてしまうトラブルがみられました。
火災への対策のため、湿式集塵機に取り替えたうえで取り付けを行ったものの、油によって濡れたごみの処理が問題となり、耐火構造、ごみの回収がしやすく設計されている吉田工業の遠心式集塵機を採用することになりました。
その結果、火がつかず燃えない・ごみを取り除きやすい・フィルターが目詰まりしにくく吸い込みも持続する結果となり、軽い粉もサイクロンの力で取れることで、作業環境が改善したということです。
エステーリンクは、顧客の要望にあわせて集塵機の製作と設置を行っている会社です。創業から現在まで、フィルターの目詰まりや長寿命化などの課題に向き合ってきました。
チタンとステンレスの研磨を行っているとある工場について、発生した粉じんを一つの集塵機のみで集めており、基幹ダクトの本数も少なかったため、集塵機の増設と素材ごとの集塵機・ダクトの使い分けに対応しました。
基幹ダクトは屋外に移設し、屋内にスペースを造ってから高効率サイクロン集塵機を増設。バフレースにホースの先を差し込む着脱方式でチタン・ステンレスの取替えが簡単にできるようになりました。
>当サイトでは「研磨会社」とGoogle検索してヒットした研磨加工会社42社(2023年8月21日調査時点)の中から、研磨に関する特許を取得している企業を対応できる素材別に3社を選出しています。