日本の研磨技術は国際的にもレベルが高く、優秀な業者もたくさんいますが、その前に抑えておくべきポイントがあります。それは一口に研磨処理といっても、さまざまな様式があるということです。ここでは各研磨様式の概要を解説いたします。
バレル研磨とは、バレル研磨機を用いて機械的に加工処理する研磨様式の一種です。バレル容器の中に、水、ワーク、メディア、コンパウンドを入れ、回転させたり振動を与えながら各物質の相対運動により研磨します。
研磨方法の違いにより、流動式、遠心式、振動式、回転式などの種類があり、それぞれに特性が異なります。いずれであっても、バレル研磨はバリ取りや平滑仕上げなど、製造工程の仕上げを一括処理できるのがメリットです。
バフ研磨とは、バフと呼ばれる素材を用いて行われる研磨方法の一つです。綿やフェルトを素材とするバフを円形の回転モーター機に取り付け、対象物表面に回転させながら押し当てて研磨。対象物表面の凸凹を減らし、抵抗、摩擦を少なくして平滑化できます。
さらに加工時についたバリや傷を除去したり、光の乱反射を抑える効果も期待できます。
電解研磨とは、工作物表面を電気化学的に処理する研磨方法のことです。電解液を介して対象物にプラスの電気を流し、表面の金属分を溶解させていくことで研磨加工します。
物理的な力を与えないのが特徴で、砥粒や油分など不純物を除去することができ、余分な残留を排除できるのがメリットです。また表面に耐食性を持たせて、長寿命化できます。
化学研磨とは、研磨用の特殊な化学薬品を用いて行う表面化加工処理技術です。対象物を化学研磨液に浸し、熱したうえで化学反応を起こし表面を溶解させながら研磨します。
機械研磨では難しい形状の工作物表面のバリ取り、キズ取り、凸凹除去、光沢研磨を行うことができ、機械や電気を使わない様式のため、ローコストで大量に処理できるのも魅力です。
磁気研磨とは、加工力として磁気力を用いた研磨様式の一種です。磁力線の物体透過現象を応用し、磁性を帯びた砥粒を対象物表面に押し当てて研磨します。
円管内面など視認できない箇所、機具が届かない箇所も精密研磨でき、凸凹面の平滑化、曲面の仕上げ、バリ取り、エッジ仕上げ、めっきの前処理、洗浄効果など、複合的な効果が得られます。
ラップ研磨とは、工作物の最終工程で用いられるポピュラーな表面処理技術です。鏡面研磨、ラッピング加工とも呼ばれ、ラップ盤を使用して対象物のワークと研磨材を挟み込み、切込みの深さや圧力を調整しながら研磨します。
一般的な砥石加工より仕上がりが高精度であり、長寿命化と溶着防止効果も得られることから、精密部品や光学部品など様々な産業分野で用いられています。
どんな立派な工具であっても、年数が経過することで劣化や刃こぼれが徐々に起こります。再研磨とは、劣化した工具を再度使える状態にまで修復することです。再研磨を行うことで工具を長持ちさせることができ、コストカットが図れるメリットがあります。
またオーダーメイドの工具でも再発注する必要がないのも企業にとっては魅力的なポイント。省資源化・長寿命化など環境にも配慮した会社としてのイメージアップにも繋がるでしょう。
メッキは金属・非金属を問わず、様々な固体の表面を金・銀・クロムなど種々の金属の膜でカバーする技術の総称です。メッキは見た目を変化させるだけでなく、製品の耐久性を高めたり通電性を獲得させたりと、様々な用途に使われます。
研磨技術ではありませんが、表面処理の方法としてメッキ加工は研磨とも深くかかわっているため、研磨会社について調べるタイミングでメッキを調べても良いでしょう。
ワークの横軸を固定し、螺旋盤のように運動をかけていく研磨方法です。機械を使用することによって、高い精度に仕上げられる点が大きな特徴でもあります。
また、焼き入れを施した鋼鉄やクロムメッキなど、ワークとしては硬い材質であっても対応が可能です。
作業時の安定感に優れ、高い加工精度を実現できることがメリットの一方で、加工工程における作業の手間や機械操作に時間がかかることによって、生産性は他の加工法と比べて劣るというデメリットもあります。
平面という文字が表す通り、ワークの平らな面に研磨パッドや砥石を当てることで研磨を施す加工法です。
平面への加工と聞くと、難易度が低そうな印象を受けますが、実際には、ワークの材質によって使う道具を変更する必要があったり、平坦度やうねりなどのパラメータが仕上がりを左右してしまったりと、作業時に注意する点も多いです。
ワークにある穴の内面に対して、研磨加工を施す方法です。主軸側に固定したワークを回転させ、そこに回転している砥石をあてて加工していく「普通型」と、穴の内周方向に円を描くように砥石で加工していく「プラネタリ型」があります。
ワークの穴に別の部品が差し込まれる構造の製品の場合、内面の精度が高くなければ摩擦の強さによって製品の寿命が縮まってしまう可能性もあるため、重要な加工の一つです。
砥石を2つ使用して研磨加工を施す方法です。砥石と砥石の間にワークを通し、ワークの両面に研磨を施します。
対象となるワークとしては、両面が平面で平行になっている形状のものが適しています。例としては、自動車部品に使用されるシムやスナップリング、ピストン、ベアリングなどが挙げられます。
ワークの表面を鏡のような光沢ある状態になるまで研磨を行っていく方法です。鏡面研磨を行う場合、美観性を向上させたいという目的や、表面をなめらかにすることで製品の性能をアップさせたいという目的などがあります。
仕上がり具合を確認する場合は、機械を用いた計測に加えて、目視も合わせて実施されます。
円筒状のワークの表面に研磨加工を施していく方法です。単なる研磨ではなく、鏡面仕上げのようになめらかな表面に仕上げることが求められます。
「高い面精度が求められる」「ワークに対して面でアプローチできない」「作業に使用するアイテムの細かい調整が必要」など、その他の研磨加工と比較すると、作業難易度が高いという特徴があります。
ベルト研磨機でワークの表面を研磨する研磨様式です。ベルトによってワークに直線方向の回転がかけられるため、ツールマークと呼ばれるベルト研磨特有の研磨痕がつくのがこの方法の特徴でもあります。広い面積を均一に研磨できるのが強みです。
ロータリー研削盤でワークの表面を研磨する研磨様式です。この研磨方法では、高精度の加工を要求される場合にも対応可能です。さらに、一度に大量のワークをスピーディーに研磨できるのが特徴です。
DVDやCD、その他のディスクの表面を研磨するのがディスク研磨です。ディスク表面に傷がついてしまうと、光が照射されても光が曲がってしまうため、ディスク内の情報を正しく読み取ることができなくなってしまいます。光が曲がったり歪んだりしないように修復することを目的とした研磨様式です。
>当サイトでは「研磨会社」とGoogle検索してヒットした研磨加工会社42社(2023年8月21日調査時点)の中から、研磨に関する特許を取得している企業を対応できる素材別に3社を選出しています。