楽器の研磨は、主にサビによる音質低下の改善や、見た目を改善するために行います。
金管楽器の表面はメッキやラッカーで保護されています。もし剥がれてしまうと、楽器の下地によく使われる真鍮がむき出しに。真鍮はサビやすい素材ですので、剥がれを放置するとサビが発生し音質が悪くなる可能性があります。
また、楽器を演奏する際は見栄えも重要です。例えば金管楽器によく現れる黒ずみ。これは音質自体に影響は与えないものの、見た目の印象はよくありません。コンサートやコンクールで演奏する場合、たくさんの人の前で黒ずんだ楽器を使うことになるので、恥ずかしいと感じる人も多いでしょう。
厄介なサビや見た目の悪さを改善するため、自分でできるメンテナンス方法についてご説明します。
金管楽器の研磨は、表面の加工方法によって異なります。メッキやラッカーなど、種類ごとの研磨方法についてご説明いたします。
表面に軽い黒ずみや白濁が現れた場合、役立つのが銀メッキ用のクロス。特にシルバーポリッシュを配合したクロスであれば、黒ずみや白濁が現れた場所をサッと拭くだけで、目立つ汚れを取り除けます。
汚れや軽いサビが見られる場合、シルバーポリッシュを使った研磨を行いましょう。ただし、強くこすりすぎたり、何度も使用するとメッキ自体が剥がれる可能性も。シルバーポリッシュを使うのは最後の手段。普段のお手入れや軽い変色にはクロスを使い、クロスで対応できない場合にシルバーポリッシュを用いると良いでしょう。
金メッキはポリッシュに弱く、過度に使用するとメッキが剥がれる可能性があります。普段のお手入れは柔らかいクロスを使用し、黒ずみのような変色が現れた場合のみシルバーポリッシュを使用します。変色部分にのみポリッシュで軽く磨き、対処しましょう。
見た目が金色や銀色だからといって、必ずしも金や銀のメッキが使われているとは限りません。クリアラッカー仕上げによって金色や銀色に見える場合もあるため、自分の楽器がどのような表面処理をされているのか事前に確認しましょう。
ラッカー仕上げの場合、専用のラッカーポリッシュを使って洗浄をするのがおすすめ。汚れの除去に加え、塗膜形成によるラッカー保護の効果があるため、日ごろのメンテナンスとして使用することもできます。
銀よりも安いニッケルを使ったメッキです。主に練習用の安い金管楽器に用いられます。
普段のお手入れに関しては、銀メッキ同様にシルバーポリッシュ配合のクロスで汚れを取り除くとよいでしょう。銀メッキよりも丈夫であるため、変色が現れた場合はメタルポリッシュを使用するとよいでしょう。
ノーラッカーの楽器は、メッキやラッカーを使用していない、真鍮のみで作られた金管楽器です。購入当時はラッカー仕上げのような美しさがあるものの、半年から1年で変色してしまう場合があります。
変色が現れた場合は、ニッケルメッキと同じくメタルポリッシュで磨くと効果的。ただしノーラッカーは変色がしやすいため、手入れを怠ると磨いた後もすぐに変色してしまいます。変色時のケアだけでなく、普段から使用後は水分を取り除き、クロスで汚れを拭き取るお手入れが重要となります。
購入当初は濡れたような美しいツヤが見られるピアノも、時間が経つと徐々にツヤが失われていきます。ここでは、家庭でできるピアノの磨き方をお教えします。
始めに毛はたきや柔らかいクロスでホコリを取り除きます。次に、中性洗剤を薄めた水でふきんを濡らし、かたく絞った後に汚れをふき取ります。乾いたクロスでから拭きしたあと、ピアノ用ポリッシュで磨き上げれば、ツヤを蘇らせることができます。
艶出し・半艶・艶消し・生地木目など、表面によって使用するべきクリーナーが異なるので、外装の塗装に合ったポリッシュを選びましょう。
鍵盤は傷つきやすいため、基本的にから拭きや専用のクリーナーで磨きます。
から拭きをする場合はピアノ専用のクロスを使用。から拭きでとれない汚れは鍵盤専用のクリーナーを使用します。塗装面用のポリッシュは鍵盤を傷つける恐れがあるので、鍵盤へのポリッシュは避けましょう。
ポリッシュは、金属についた汚れを落とすのに欠かせないクリーニング用品のひとつ。特にひどい汚れやくすみを落とすときに活躍します。使い方としては、少量のポリッシュをクロスにつけて優しくふき取ります。ポリッシュのなかには研磨剤が入ったものもあるので、つけすぎや使い過ぎには注意が必要です。
同じく、楽器の汚れを落とすのに欠かせないのがクロス。クロスはファイバーやフランネルなどの布地でできており、楽器についた指紋などの汚れをふき取るのに使用します。乾拭き、またはポリッシュをつけてケアします。さまざまなサイズがあるので、楽器に合わせて選ぶのがおすすめです。
ピアノ用クリーナーは、ピアノについた汚れを落とすのに使用するメンテナンス用品です。手垢や手汗がつきやすいピアノは、放っておくと黄ばみやくすみの原因に。タオルでふき取るだけでなく、定期的にクリーナーで表面を綺麗にするのがおすすめです。
こちらはピアノクリーナーと同じく、ピアノのキー部分を綺麗にするためのメンテナンス用品です。とくにピアノキーは手汗や手垢がつきやすい部分なので、鍵盤専用のクリーナーを使用するのがおすすめ。楽器店と相談しながら、ピアノの材質に合わせたクリーナーを探してみましょう。
管楽器とピアノそれぞれに対応している会社を紹介しています。(2021年8月調査時点)
管楽器修理・メンテナンスを専門に行うSTY。木管楽器・金管楽器とそれぞれの楽器の修理に対応し、管楽器修理の専門技術者による精度の高いメンテナンスを実施しています。メッキ加工においては前処理から研磨、洗浄・脱脂まで丁寧にひとつずつ作業にあたってくれます。
木管楽器修理メンテナンス
金管楽器修理・メンテナンス
お茶の水に本店を構える日本最大級の管楽器修理工房。さまざまな管楽器の修理のほか、手磨きでの研磨も対応します。
国内外を問わず、さまざまなブランドの楽器を取りそろえる専門店。平成25年にはリペアスタッフが、同じ業種で10年以上働き優れた技術を持つ人に送られる、「新宿ものづくりマイスター『技の名匠』」に認定されました。
スナガミ楽器は、音楽教室や楽器販売、地域音楽活動支援など、音楽に関わるさまざまな事業と地域貢献を行う会社です。ピアノの研磨やクリーニングに対応し、傷やへこみの修理、再塗装にいたるまで行います。
ピアノ外装・内装の修理、塗装まで幅広く対応する会社です。木材加工やピン板修理のような大きな修理にも対応可能。100年以上前の古いピアノでも修理を受け付けており、高い技術力がうかがえます。
国内大手の楽器メーカー、ヤマハが経営するピアノ会社です。ピアノ修理に関しては外装の傷の修復、金属部の磨き、内部の清掃に対応。オーバーホールも行えるので、音や弾き心地を回復させることも可能です。
>当サイトでは「研磨会社」とGoogle検索してヒットした研磨加工会社42社(2023年8月21日調査時点)の中から、研磨に関する特許を取得している企業を対応できる素材別に3社を選出しています。