このページでは、切削加工の特徴やメリット・デメリット、研磨加工との違いなどについて紹介しています。金属の表面処理加工についてお調べの方は参考にしてみてください。
切削加工は「機械加工」と呼ばれることもあり、多種多様な金属加工において基本となる方法のひとつです。工作機械を用い、材料を切ったり削ったりして不要な部分を除去していくことで、用途にあった形状や理想のサイズに加工していきます。
切削加工は、材質や手法によって工具を変えることによって、向き不向きはあるにせよ、基本的にはどんな材料でも加工が可能です。汎用性の高さが大きな特徴だと言えるでしょう。
切削加工では、要求に応じて精度や表面粗さといった仕上がりの調整が比較的自由に行えます。特定の箇所については精度を高め、そうではない箇所は荒く仕上げるといった、メリハリを付けた加工ができるのです。
切削加工は、他の金属加工と比べて金型が不要なため、初期投資が比較的少なくて済みます。また、製作個数の数も問わず、コストは基本的に個数に比例していきます。
鋳造や鍛造などであれば、作業の前に素材を加熱して加工しやすくする必要があります。しかし、切削加工ではその手間は不要。前段階の手間や、設備投資のコストも必要ありません。
金属を削っていく除去加工と呼ばれる手法の中には、切削加工のほかにも、研削加工や放電加工などさまざまな種類があります。その中でも、切削加工は安価に行える手法であり、精度とのバランスが取れた加工法だと言えます。
切削加工では材料を削っていくため、必ず切りくずが発生。歩留まりは悪くなります。また、切りくずの処理にも手間がかかります。材料によっては大きな工数がかかる場合もあるため、相応の対応をしていく必要もあるでしょう。
精度や強度をあまり求められない大量生産品の場合、他の加工法のほうがコスト面や生産性で有利なことがあります。そのほかのさまざまな方法とも比較しながら、適したものを使い分けていく工夫が必要です。
切削加工は工具で加工をしていく手法で、工具の強度によっても加工できる素材が変わります。工具が入らない、強度が足りないようなものの場合は加工ができないといったこともあります。
切削加工では、極端に脆かったり柔らかかったりする素材の場合、表面が荒れてしまう可能性があります。また、摩擦によって熱が発生し、それによって柔らかい素材が溶けてまとわりつき、作業能率の悪化につながる可能性もあります。
切削加工では、加工の目的によっていくつかの種類を使い分けることになります。それぞれの加工法を知っておくことで、適切に使い分けていけるようになるでしょう。
旋削加工は、設備に固定した材料を回転させながら固定した工具に当てて削っていく加工方法です。旋盤加工が代表的で、設備としては、汎用旋盤、NC旋盤、卓上旋盤、立旋盤などを使用します。
旋盤加工は材料を回転させながら加工していくため、主に丸形状に加工していく際に用いられます。外径加工、内径加工、ねじ切り加工、突切り加工といった加工がメインになります。
外径加工は、回転している材料の外側に工具を当てて加工していく方法となっています。表面の仕上げ加工をするときや、最初に大まかに形を整えていく際に使用します。切削工具を材料に当てるときの角度によっては切りくずが必要以上に発生してしまうため、注意が必要です。
内径加工は、穴あけ加工などで開けた穴を大きく広げる目的で、内側から材料を削っていく方法です。穴の大きさの調整や内側の表面仕上げなどに用いられ、穴の深さに合わせて工具を調整し、適した形に整えていかなくてはなりません。
ねじ切り加工は、ねじのピッチを製作する加工法です。専用の工具を使うことで、雄ねじと雌ねじの両方を加工できます。フライス加工の場合は雌ねじしか製造できない場合が多く、雄ねじを加工できる旋盤加工には大きなメリットがあります。
突切り加工は、材料に工具を押し当てることで不要な部分を切り落とす加工法です。細い刃の工具を使用し、振動や音に注意して行います。精度の高さが求められるため、加工には高い技術が必要になります。高精度が求められる場合は、油を使うなどして工夫することもあります。
旋削加工が材料を回転させるのに対し、転削加工は材料を固定し、回転させた工具を当てていく加工法となります。代表的なものには、フライス加工が挙げられます。フライス加工には、汎用フライス、NCフライスなどの設備が使われますが、特にマシニングセンタを使用する場合が多くなっています。フライス加工の代表的な加工法には、平面加工、側面加工、段差加工、溝加工、穴加工が挙げられます。
平面加工は、材料を固定するテーブルと並行の面を削っていく方法です。側面フライス加工は加工物の側面を削る加工法。切削効率や精度に優れた正面フライス加工や小さい面積を削るエンドミル加工、切削効率に優れた平フライス加工など、さまざまな種類に分類されます。
段差加工は、平面に段差を付ける加工法です。広い面積の浅い段を加工したり、狭い面積の深い段の加工をしたり、用途によって使い分けていくことができます。溝加工では溝の下にボルトを通すT溝加工、底部が広がったあり溝を作るあり溝加工など、こちらも用途によってさまざまな変化があります。加工するものによって、縦型フライス盤を用いるのか、横型フライス盤を用いるのか、目的に合わせて柔軟に選択していく必要があります。
穴加工は、ドリル工具を使って材料に穴を開ける穴あけ加工と、穴を広げる中ぐり加工の二つに分けられます。
転削加工では、さまざまな種類の設備と加工法に適した工具を選んでいくことで、ニーズに応じた形で複雑な形状の加工もできるようになっています。どの設備でどの加工をするのかが大きなポイントになります。
切削加工と研削加工は、言葉が似ていることから同じような加工方法と認識されることがあります。しかし、実はそれぞれ異なる特徴を持っています。
切削加工では刃物で材料を削るため、切りくずが発生します。一方、研削加工は、研削用の砥石を高速で回転させて材料の表面に押し付けて表面を削っていく精密加工法です。つまり、より高精度に仕上げられるのが切削加工なのです。ただし、その分コストや時間は多くかかるという面もあります。
研磨加工は、その名の通り表面を綺麗に磨き上げていく加工法。切削加工のように不要分を取り除くわけではなく、仕上げの加工として行われることが多いです。製品の仕上がり具合によって、加工法は使い分けていく必要があるのです。
切削加工の特徴を掴むことによって、そのほかの方法との比較や使い分けもできるようになるでしょう。より良い製品の仕上がりのために、どの加工をどの工程の中で行うのかが重要。切削加工に加えて、そのほかの加工法についても知っておくことで、質の高い製品を仕上げることができるようになるでしょう。
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※ISO9001認定を取得、公式サイト上に研磨事例が掲載されている会社の中から、対応領域の種類が多い3社を選定(2021年6月調査時点)
※情報参照元:三陽工業(https://sanyou-ind.co.jp/company/)、大堀研磨工業所(http://www.ohorikenma.co.jp/quality.html)、東京ステンレス研磨興業(http://www.tskenma.com/company/history.php)