本ページでは、研磨加工の歴史について解説します。研磨加工がどのように始まり発展し、現在に至るのか、ぜひチェックしてみてください。
研磨加工が始まったのは今からおよそ1万年前、新石器時代です。それ以前の旧石器時代では、石同士を打ち砕き鋭くした石器を使用していました。 新石器時代には打製石器に石や砂利をこすりつけて表面を滑らかにし、より鋭利に加工した磨製石器が使われるようになったとされています。
研磨加工は時代の流れに合わせて発展していきます。
1900~1925年頃は研磨加工の黎明期ともいえます。古くからの研磨法に西欧の新たなガラスレンズの研磨方法が加わりました。この時代は欧米で学問分野の中で工学の重要性の認識が高まってきており、研磨加工に対しても大きく関心が寄せられていました。 ラッピングとポリシングの違いが明確になり、ポリシングで仕上がった鏡面の様々なレベルと加工メカニズムに関して研究者の間で物議を醸すこともあったようです。
金属材料の鏡面仕上げや寸法・形状精度仕上げ、ブロック同士の密着などは、表面の凹凸の平滑化という点において研磨加工と摩擦・摩耗の共通性が注目されました。また加工表面の状態に関し、ポリシングを行った表面と内部で材質が異なることがBeilbyにより見出されたのもこの時期です。 現在のBeilby層や加工変質性の概念に結び付く発見となりました。
1926~1950年頃は研磨加工の成長期です。高度な兵器用光学部品の国内生産に応えるために、研磨技術の高度化が進められました。 高度の光学レンズやプリズム製作では、鏡面仕上げにピッチポリシングを適用するのが普通でした。しかし扱いの難しいピッチポリシャを使いこなすには熟練の技術が必要です。
一方、ラッピング・ポリシングで用いる研磨剤の砥粒には、様々なものが利用されるようになりました。光学ポリシングでは、より研磨能率が高いCeO2砥粒が利用されるようになったのです。 研磨加工の成長に合わせて、この頃にようやく研磨加工の技術書が出版されるようになりました。
超仕上げやホーニングなどの研磨方法は、1934年に米国で輸送中の自転車エンジンのシリンダ内面がピストンとの摩擦により鏡面になったことがヒントとなり生まれたものです。電解研磨や化学研磨は、金属組織の検鏡試料作製に用いられたとされています。
1951~1975年頃は研磨加工の展開期といえます。研削加工や研磨加工を対象とする砥粒化工学会は、砥粒加工研究会として1956年に設立されました。
1960年代前半には超精密加工という技術用語が使用され、原子や分子単位の精度を問題にする加工に取り組んでいたとされています。この時期に数多くの超精密研磨法が提案されました。
研磨加工技術は各種部品の高性能化・高機能化に応えるべく、進展し続けています。研磨加工に対して厳しい要求がされるようになったため、デバイス分野や材料分野との密接な連携、さらに精密洗浄や計測制御といった加工周辺技術との結びつきが発展に必要不可欠な時代に到達したといえるでしょう。
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