ここでは金属部品の表面処理加工に欠かせない技術、バフ研磨について詳しく解説しています。
バフ研磨とは、ステンレス容器を始め、金属表面の凹凸を磨き上げ滑らかに仕上げる研磨方法の一種です。バフには磨いて輝かせるという意味があり、このバフを機械に取り付けたものをバフ機と呼びます。
バフ研磨の歴史はとても長く、物理的な研磨方法としては古くから用いられているものです。方法としては、バフホイールを回転モーター機に取り付けて回転させ、研磨剤を塗布しながら対象物に押し当てて研磨していきます。
バフ研磨はグレードごとに数字で区別されており、数字が大きくなるほどグレードが高いことを意味します。また単に磨くだけでなく、バリや傷の除去、表面の平滑度の向上も行うことができるバフ研磨は、部品の表面処理加工に欠かせない技術となっています。
ただし、高度な処理には技術力が必要となるため、製品ごとにバラツキが発生する可能性があります。技術力に優れた研磨加工会社に依頼するようにしましょう。
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バフ研磨は、製品を美しく仕上げるためにも大切な工程になります。一般的に、工場で工業製品を生産する際、加工のために旋盤やマシニングが用いられます。その結果、製品の表面などに「バリ」と呼ばれる傷が残り、表面は粗い状態になります。
さらに、機械油や加工物などの削りかすも表面に残っているため、そのままで出荷できるような仕上がりとは言えません。
つまり、バフ研磨の必要性とは、傷が残った粗い表面の凸凹を小さくし、さらに削りかすを取り除くことで、製品を充分に出荷できるコンディションへと仕上げていくことにあるのです。
金属研磨を行う工程は大きく分けて4つ。それぞれ粗削り、中間仕上げ、仕上げ、バフ研磨です。いわばバフ研磨は鏡面仕上げを行うための最終工程といえます。
最終工程といっても、目的とする表面粗さによって仕上がりは異なり、それに合わせてバフ研磨で使用する種類や研磨剤も細かく変わります。ここで、それぞれの種類ごとの特徴を解説します。
凹凸や傷が目立つ金属表面をある程度整える工程です。エメリーバフのような細粒度のバフを使用する場合、トリポリを使って目つぶしをしておくのが一般的。表面粗さに関しては、2㎛㎛Rz以下に仕上げることで、次の中研磨につなげられます。
粗研磨後の金属表面を、サイザルバフや綿バフで整える工程です。表面粗さは0.3~0.6㎛Rz。ステンレスや鉄鋼を研磨する場合はサイザルバフ、黄銅やアルミニウムを研磨する場合は綿バフを使用。研磨後はやや光沢が現れるので、鏡面仕上げをしない場合はこの工程で最終仕上げとなります。メッキ加工製品やステンレスの場合、#400のバフ研磨がこの中研磨に分類されます。
準鏡面仕上げと呼ばれ、表面の粗さを0.2㎛Rz以上にする工程です。主に#600~#800のバフ研磨が分類され、使用する研磨剤は酸化クロム系やアルミナ系など。材質や仕上げ品質によって選択する研磨剤が変わります。光沢の質やバフ傷の微妙な状態で評価が大きく変わるので、バフの材質や研磨剤選びは慎重に選ぶ必要があります。
仕上げ研磨後、#800のバフ研磨を用いて、金属表面を鏡のように磨き上げる研磨方法です。表面粗さは0.1㎛Rz以上。バフ目もなく景観がはっきり映り込むほど丹念に研磨します。見た目の美しさだけでなく、除菌性、洗浄性を高める目的でこの鏡面仕上げが行われます。
バフ研磨を行うと加工物の表面の凸凹を減らすことができ、平滑化と光沢化が可能になります。加えて、溶接ビード、キズ、バリ、その他付着物の除去にも有効で、工作物の抵抗と摩擦を少なくして、見た目を綺麗に整えることができます。
さらに微細な加工を行うことにより、表面を美しく滑らかにするだけでなく、光の乱反射を抑制する効果も期待することができます。
バフ研磨のデメリットは、研磨処理で発生した微細な傷の隙間に、研磨剤が付着してしまうことです。
洗浄をすればある程度除去できますが、完全に除去することはできません。またミラー仕上げ等、高度な処理を行う場合は相当の技術が必要で、製品ごとにバラツキが発生する可能性があります。さらにバリ取りでは、押し付ける力と角度のズレにより、除去できる量が変化します。
物理研磨では難しい傷や汚れの除去などは、電解研磨など化学的な研磨方法を選択する方法もあります。
バフ研磨できる材質の種類はとても多彩です。ステンレスではSUS303・SUS304(L)・ SUS316(L)SUS310S SUS329J4L、チタンはTi_2種・Ti_1種・Ti_JIS60種、アルミではA5052・A2014-T13・A2027・A3003、その他、ハステロイC-22・インコネルI-600・カーペンターC-20・低炭素鋼などに対応します。
バフ研磨の用途も幅広く、タンクや配管、装飾品や鉄道部品、半導体部品、真空チャンバー、メッキ、溶射、精密機械など、多岐に渡ります。
ステンレスには光沢がありますが、その光沢は実はステンレスそのものから成るものではなく、バフ研磨を行うことによって作り出されたものなのです。
思い通りの光沢を出すためには、まず数字の小さい番数のバフでスタートすることが一般的な方法になります。なぜなら、数字の小さい番数は目が粗いからです。研磨を進めながら、徐々に番数の大きいバフへと切り替えていき、光沢を調節していくことになります。
クロムメッキやニッケルメッキ前にバフ研磨をおこなったり、あるいはハードクロムメッキ前後にバフ研磨をおこなったりする工程が採用されることがあります。ただ、このような「バフ研磨とメッキの組み合わせ」で処理を行う場合には、次のようなトラブルが生じる可能性があるので、注意が必要です。トラブルの主な3つの原因についてみていきましょう。
バフ研磨は、その性質上、研磨剤や削った金属がワークの上に残ってしまうケースがあります。ですから、洗浄が不十分だと、こういった不純物が付着したままのワークにメッキ工程をおこなってしまうことになり、剥離現象などが生じやすくなります。あるいは、ワークを長時間保管した場合には、不純物が固化して除去すること自体が困難になってしまうケースも、ゼロではありません。
使用する研磨剤の粒の大きさを正しく選定しないと、メッキ後にザラつきが生じる原因になってしまいます。場合によってはバリが発生してしまう可能性もあります。
バフ研磨は、手動でおこなわれる場合も自動機械が使用される場合もあります。機械の場合は、コストを抑えやすいというメリットがある一方で、こまかな融通がきかないというデメリットがあります。特に、メッキの膜はとても薄いので、どうしても磨き残しが発生しやすくなってしまいます。仕上がりに影響するため、ぜひ注意しておきたいところです。
バフ研磨と電解研磨を得意とする三和産業は1918年に創業。大手電機メーカーである日立製作所に技術者を出向させるなどしており、技術力の高さに定評のある、老舗の研磨加工会社です。
本社のある山口県から、国内はもちろん海外にも出張研磨をしている実績があります。
研磨職人の確かな技術力に加え、発注前にも研磨の相談ができる「技術営業員」や、書類の管理・提出等を円滑に行う「総務・管理担当員」、不具合があった際にすぐに解決のための原因究明や表面分析を行う「生産技術員」などを配置することで、顧客のニーズに迅速に対応できる体制を整え、他社で断られたような難しい研磨や、短納期などの要望にも応えています。
鉄道部品、装飾品、タンク、配管、熱交、真空チャンバー、半導体関係部品、精密機械部品、医薬・化学・食品製造装置(サニタリー類/継手/タンク/熱交)、粉体装置ほか
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小林研磨工業は、手作業による研削研磨で、正確に削る技術に優れています。金属の形を整えるには、粗めのペーパーを使うのが一般的。しかし粗いペーパーは金属が大きく削れてしまう可能性があります。かといって、目の細かいペーパーではなかなか削りが進まず、効率が悪くなります。小林研磨工業は、粗いペーパーで、しかも難易度の高い曲面を研削研磨できる高い技術があります。これは手作業による研磨ならでは。
機械研磨では磨けないような複雑の形のもの、あるいは機械で磨くならコストが高くなってしまうようなものを得意としています。複雑なものや試作品、小ロットのものも手作業なら対応しやすく、小林研磨工業はそういった部品の対応を得意としています。
自動車部品、オートバイ部品、ガスタービン、医療機器部品、航空機器部品、特殊バサミ、漁具、自動機械部品ほか
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三和メッキ工業は、メッキやアルマイト処理などがメインの企業。そこで、メッキ処理を行うことを前提としたバフ研磨をしてくれます。本来メッキ処理とバフ研磨処理は全く別物。しかしバフ研磨を行った後はメッキ処理をすることもままあります。三和メッキ工業では同じ会社の中で、互いの仕事を熟知した職人同士がバフ研磨・メッキ処理を行ってくれますよ。
三和メッキ工業ではwebによる無料相談を実施。Zoomを使った打ち合わせも行えるので、立ち寄る時間がなくても気軽に打ち合わせをすることができるでしょう。
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「バフコンシェルジュ」を標榜する中央バフ製作所は、バフ研磨のほかバフの製造・販売まで手掛ける会社です。全国の研磨事業者と連携し、研磨に関するさまざまな悩みや問題に対応してくれます。
公式サイトに記載なし
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>当サイトでは「研磨会社」とGoogle検索してヒットした研磨加工会社42社(2023年8月21日調査時点)の中から、研磨に関する特許を取得している企業を対応できる素材別に3社を選出しています。