研磨や金属加工の分野でも、AI導入の動きが高まっています。業界の人手不足や安全性確保の目的からAIを導入するメリットは大きいと言えます。ここでは実際にAIを導入している事例のほか、研磨加工とAIに関する背景と今後の展望について紹介します。
少子化による後継者不足や、働き方改革による労働時間短縮など、研磨加工業界においてもこれからを担う人員の育成は直近の課題です。技術者の高齢化も進み、国内外での競争力を維持していくことも同時に考慮しなくてはいけない状況となっています。現在の日本では研磨加工業界に限らず、製造業全般で「業務の自動化」が急ピッチで進んでいます。
研磨ロボットは一般的に「ロボットアーム」と「研磨機」を合わせた構成となっています。固定・装着するものが「加工物」なのか「研磨機」なのかで、ロボットの構成が変わります。
ロボットアームで加工物を固定し、研磨機を当てながら加工します。ロボットと研磨機がリアルタイムで連動するので、加工の程度の微調整ができます。
ロボットアームに研磨機を装着し、別に固定した加工物に触れながら加工します。加工物の姿勢や押しつけ圧力を一定にするなど、前もってロボットにティーチングを行うことが特徴です。
これまで研磨やバリ取り、測定工程における自動化は難しいものとされてきました。しかし近年では、ロボットやAIの技術が進化し、研磨の分野でも「作業の自動化」への兆しが見えつつあります。
ロボットやAIを活用し、工場の無人化が実現しても、完全に人が要らなくなることはありません。いずれ起こりうる機械トラブルに対して、いち早く気付き対応できるかという「監視技術」も直近の課題となっています。現在国内でも「IoTを活用した監視技術」の他、監視体制に関する新たな技術の開発が行われています。
一部自動車業界では、エンジン部分の研削加工において、その加工品質を判断するAIを本格導入しています。
加工設備で得られた主軸動力値や振動データを取得し、その品質が基準値内かどうかを判定。導き出された結果を加工設備へフィードバックするという仕組みです。また、品質管理AIと連携させ、設備内に組み込まれたAIを一元管理することで、予測度を維持し、AIチューニング時期の判断が可能となります。
このシステムを導入したことで、従来の抜き取り検査と比較し、リアルタイムかつ高精度な品質保証が実現しました。
少子高齢化による後継者不足問題をテーマに開発されたシステムです。このシステムではまず「熟練者たちの思考過程」をデジタルモデル化しました。工作物や工具、加工条件、関連する因子などをヒヤリングし、「知識ネットワーク」を構築。これにより、未熟練者であっても、工作物や工具に関する情報を入力するだけで、最適な被削材や要求精度、推奨加工条件を導き出すことが可能となりました。
実際に試作したツールを新人教育の場で検証すると、最終的に指導員に頼ることなく、新人一人で条件選定や対策の立案が達成できました。
>当サイトでは「研磨会社」とGoogle検索してヒットした研磨加工会社42社(2023年8月21日調査時点)の中から、研磨に関する特許を取得している企業を対応できる素材別に3社を選出しています。