ここでは、磁気力を用いて表面処理する磁気研磨についての特徴やメリット、今後の課題について紹介しています。
磁気研磨とは、磁気力を原動力として活用する研磨方法のことです。遊離砥粒方式とも呼ばれ、磁性砥粒を磁気力で動かしながら対象物の表面上で均一に行き渡らせ、研磨していきます。
加工原理は、対象物の下面側に永久磁石を設置し、磁気力によって対象物表面の磁性砥粒を押し付けて精密研磨する仕組みです。磁力線の物体透過現象を利用できるため、磁性砥粒の加工力を遠隔制御できるのが特長です。
永久磁石が右に動けば磁性砥粒も同じように動き、永久磁石が左に動けば磁性砥粒もそれに追従します。このように磁気力と物体透過現象を利用して加工処理を行う方法が、磁気研磨です。
磁気研磨の長所は、対象物の形状や位置に関わらず高度で精密な処理ができることです。例えば、形状変化を起こすことなくバリだけを除去できるのは磁気研磨の真骨頂ですし、鋭利なエッジを滑らかに処理できるのも特筆すべき長所です。
また、薄い板状のワークでもたわみを起こすことなくバリ処理できることや、ナノレベルの超精密磁気研磨法の応用が可能であること、めっき等の前処理や洗浄効果を持つことも、磁気研磨ならではのメリットです。
さらに、狭量な箇所を精密研磨するのは容易ではありませんが、磁気研磨は円管の内面など、細長く目に見えない箇所の精密研磨も行うことができます。しかも形状に関わりなく、砥粒は常に均一にあたります。
表面処理加工技術としての磁気研磨にデメリットはほとんどありません。一方、加工技術のさらなる進歩により処理時間短縮が可能になれば、生産性が向上して大幅なコストダウンが期待できるため、企業による技術開発がポイントになるでしょう。
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