研磨加工で期待する効果を得るために欠かせないのが適切な条件の設定です。具体的に、どのような条件を設定すればよいのでしょうか。ここでは、研磨条件の概要と項目について解説します。
研磨作業を行うときは、機械に対して条件を設定しなければなりません。これを研磨条件あるいは機械条件などといいます。条件を正しく設定できていないと、期待した結果を得にくくなります。想定通り機械が動作しないからです。上手く研磨を行えないときは、機械に設定した条件の見直しも必要といえるでしょう。
設定する条件は、使用する機械で異なります。機械の特徴を理解しておくことが欠かせません。代表的な条件として、パス回数、周速度、送り速度などがあげられます。これらはどのような研磨条件なのでしょうか。
ここからは、具体的な研磨条件について解説します。
研磨加工を行う回数を意味します。当然ながら、パス回数により得られる結果は異なります。摩擦熱を抑えたい、研削力を向上させたいなど、目的に合わせてパス回数を設定する必要があります。
周速度は、円が回転しているときの外周の速度を意味します。つまり、一定時間内に進む距離を表しています。条件を設定するときは、ホイールの回転数だけでなく周速度を意識するとよいでしょう。
推奨周速度に設定することが基本ですが、最初は摩耗分を考えて、10%程度、高く設定しても構いません。回転数を設定できない場合は、ホイールのサイズを変えることで周速度を調整できます。
送り速度は、研磨対象が送られる速度を意味します。一定時間内に研磨対象が送られる距離と考えることができます。円筒研磨の場合、研磨ヘッドのスピードが送り速度になります。研磨対象そのものが自転する場合は、外周面の周速が送り速度に相当します。
円筒形の研磨対象を用いる場合、送り速度のほか回転数にも注意が必要です。例えば、センタレス研磨の場合、スキュー角を固定した状態で外径の異なる研磨対象を用いる場合、回転数を調整して加工時間を管理しなければなりません。
ちなみに、センタレス研磨は、研磨材などで研磨対象を支えながらその外周を研磨する方法です。送り速度だけ注目していると、期待した結果を得られない恐れがあります。
研磨方法は、大きくアップカットとダウンカットにわかれます。アップカットは研磨対象の進行に相対するように研磨材が当たる方法、ダウンカットは研磨対象の進行に合わせるように研磨材が当たる方法です。アップカットは研磨対象をすくうように、ダウンカットは研磨対象を削り落とすように研磨する方法と考えればわかりやすいかもしれません。アップカットには研削力が高くなるメリットがあります。
一方で、研磨後の表面はやや粗くなります。対するダウンカットは、研磨後の表面はなめらかですが研削力はやや劣ります。研磨方法でも加工効率や仕上面は変わります。目的に合わせて条件を設定することが重要です。
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