このページでは、焼け取りについてわかりやすく説明しています。スケールと呼ばれることもある「焼け」。これを除去する工程が必要である理由のほか、焼け取りをおこなうための2つの方法「電解研磨」と「酸洗い」について、それぞれみていきましょう。
金属に、溶接やワイヤーカット、レーザーなどの加工をおこなうと、表面に焦げたような跡が残ります。これは「スケール」とも呼ばれる「焼け」のことです。そして、焼けを除去する作業がいわゆる「焼け取り」です。
焼けが発生すると、ワークである金属素材がもつ本来の色から変色することになります。ですから、そのままにしておくと外観のよさが低下してしまいます。
さらに問題はそれだけではありません。ステンレスの場合、表面には不働態被膜という薄いながらも頑丈な膜があるのですが、焼けは、この膜を壊してしまいます。不動態被膜には腐食を防止する効果があるのですが、それが機能しなくなるということは、焼けが発生している部分から、腐食が始まる可能性を高めてしまうことを意味します。
焼け取りをおこなう際、ステンレスワイヤーブラシやスチールワイヤーブラシ、あるいはサンダーなどをかけるだけでは、不十分であることをおさえておきましょう。
こういったアイテムで表面に研削をおこなえば、一見したところとでは、とてもきれいに仕上がります。けれども、実際には表面の不働態被膜が破壊されてしまいます。表面への不動態処理も、もちろんできていない状態のままです。しっかりと焼け取りをおこなうためには、次のように「電解研磨」あるいは「酸洗い」が必要です。
電気化学的方法である電解法は、交流法と直流法の2種類があります。さらに、使用する電解液によって、中性電解法と酸性電解法とにわかれます。
交流法は溶解力が低く、不働態皮膜をこわしてしまうので、不動態化処理をあわせておこなうことが求められます。一方、直流法であれば、不働態化の効果が得られるため、その点ではおすすめです。
中性塩電解液を使っておこなう中性電解法は、安全性の高い電解法だといえます。とはいえ、そのぶん焼け取り速度が落ちてしまうことが原因となり、有害な六価クロムを溶出してしまうので、注意が必要です。また、酸性電解法の場合は、酸性の電解液を扱わなくてはならないため、安全面を考え、酸性液の充分な水洗いが求められます。ただ、焼け取りの速度が上がるので、六価クロムの溶出をおさえられるというメリットはあります。
硫酸や塩酸といった強酸に、鋼材を漬け込んでおこなう焼け取りの方法です。この酸洗いの方法であれば、焼けだけでなく汚れや錆びなど、さまざまな不純物を取り除くことが可能です。注意点としては、面の仕上がりがつや消しの状態になります。そのため、光沢を出したい製品の場合には、別の焼け取り方法を選択する必要があります。
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