研磨作業を専門業者に依頼したいとお考えの方向けに、予め知っておきたい各種の知識を取りまとめて紹介しています。
そもそも研磨作業というものは、工業製品の製造に深く関わっている方でなければ、なかなか馴染みのないものです。まずは以下の項目について、確認してください。
率直に申し上げますと、研磨作業の料金というものは、すべての場合において、ケースバイケースであり、相場がいくらとははっきり言えません。例えば同じ作業を依頼したとしても、A社は6,000円以上、B社は3,500円程度といったことが起こり得ます。また料金の安さ“だけ”で選んでしまうのも避けるべきです。大切なのは、料金と仕上がり品質のバランスが取れているかです。
簡単に言えば、研磨とは加工品の表面を磨き表面をきれいに仕上げることです。しかしその方法は実に様々。細かく分類するといくつもありますが、主なものは、専用の機械を用いるバレル研磨や液状の研磨剤を使うバフ研磨。電気を通す液体に加工品を浸して電気を流すことで行う電解研磨。そして比較的馴染みのある砥石やサンドペーパーを使った手作業による研磨などがあります。
日曜大工やプラモデルなどで使うサンドペーパーに示されている番号が、まさに研磨の番手です。研磨加工を行う際に使う研磨剤の粗さや細かさを表す数字であり、番号が小さいほど粗くなり、大きくなるほど細かくなります。ただし、どの作業をどの番手で行うかは様々な要素を基に判断する必要があり、依頼する業者によっても対応できる領域が異なってきます。品質の高い仕上がりを希望するのであれば、品質マネジメントシステムの国際規格である“ISO9001”を取得している業者かどうかを、判断基準とするとよいでしょう。
金属や樹脂などの素材を加工する際に現れるのが、バリです。放置すると製品の動作部への悪影響や、加工する人や製品を購入したユーザーに怪我を負わせる可能性があるため、現在では設計図面に必ず「バリなきこと」と記載されています。バリ取りを専門の会社に依頼する場合、会社の技術や所有している機器により仕上がりが変わります。仕上がりの良し悪しは品質に直結するため、依頼する場合は、バリ取りに関する実績や機器の有無などを事前に確認しておきましょう。
素材の研磨精度の高さは、製品の品質の高さにも関わります。研磨会社ごとに技術力が異なるため、技術力の高い会社をどう選ぶべきか悩む人は多いはず。高い精度で研磨をする会社をどう選ぶべきか、押さえておくべきポイントをまとめています。
ISO規格とは国際的な規格を制定する機関が定めた、一定水準の品質をクリアしたものや企業に与えられる規格のことです。世界中で同じレベルの品質を提供するための国際的な基準になります。ISO9001とは「品質マネジメントシステム」の国際規格のことを指し、品質を維持するためのシステム管理が行われている場合に認定。ISO9001を取得することで、企業としてブランドの価値が向上し、グローバル化する競争において有利に進めることができるでしょう。
大理石は石灰岩の一種で、テーブルやカウンター、バスルーム、彫刻や内装材といった建築材料用として人気が高い石材です。その種類は細かく分けられますが、大きくに分けると、天然大理石・人工大理石・人造大理石の3種類があります。
天然大理石はその名の通り天然の石灰岩が使用されています。人工大理石と人造大理石は一見同じように思えますが、人工大理石には大理石の成分が含まれておらず、人造大理石は大理石とそのほかの成分が混ぜられた半人工素材となります。
次のページではそれぞれの特徴についてより詳しく紹介するほか、大理石の研磨方法を解説しています。
研磨に関する用語で知っておきたいのは、ポリッシュ、ラップ、ホーニング、ヘアラインです。ポリッシュは工作物の表面を磨いてツヤを出すこと。ポリッシュを行う清掃機械のことをポリッシャーと呼びます。ラップは「梨地」と呼ばれるザラザラした質感に仕上げるための研磨手法のことです。
ホーニングは、内径を研磨すること。ホーニングによる研磨加工を「ホーニング加工」と呼び、精度の高さが特徴です。ヘアラインは髪の毛の筋目のことをいい、ヘアラインのような傷や模様を付ける加工を「ヘアライン加工」と呼びます。
コンパウンドとは、研磨加工で使用する研磨剤のことです。研磨剤とひとくちにいっても、さまざまなタイプがあります。液体タイプや粉体タイプ、さらには油性・水性にも分かれているので、ワークの性質に適していると思われるものを選ぶ必要があります。また、中目・細め・その他の「粒度」も商品によって異なるので、あらかじめ確認しておくことが大切です。
古くは天然石が研磨材としての役割を果たしていましたが、現在においては人工の研磨材が主流になっています。この記事では主な研磨材12種類について、その化学式や特徴、硬度などをまとめています。特定の研磨材がどのような素材と相性が良いのか、あるいは悪いのかを、あらかじめ把握しておくことは大切です。思わぬ化学反応が発生したり、思ったより硬度がなかったりして、上手に削れないなどの問題が生じてしまう事態を避けられるでしょう。
研磨加工においては、手順がとても大切です。正しい手順を経て、最後のつや出しや鏡面仕上げに到ることで、ワークを安全で美しい商品に仕上げられます。またそれぞれの手順の加工のクオリティも、同様に重要なポイントです。「下地」では、大きなデコボコを削っていくための大胆さが求められます。その次の手順である「ならし」は、まだザラザラ感が残るワークの表面を文字通りならしていく工程。そして「つや出し」では、汚れの除去を行い最終仕上げへとつなげていき、最後に「鏡面仕上げ」でピカピカになるまで磨き上げます。
表面粗さとは、文字通り、表面にある凹凸の度合いを表す言葉です。ただ、ひとくちに表面粗さといっても、その定義や測定方法、パラメーターなどには複数の種類があります。ひとつずつ比較しながら特徴などを整理しておくことで、表面粗さに関する理解を深めることができます。
また、表面粗さを少なくするためには、基本的には研磨加工が必要ですが、研磨加工以外の方法で表面粗さを少なくするべきケースもあるので、その方法についても解説しています。
砥石は、どのような仕組みでワークを削ったり加工したりすることができるのでしょうか。仕組みを理解するためには、砥石の構成要素とそれぞれの構成要素がもつ役割を把握するよいでしょう。
構成要素は砥粒・結合剤・気孔の3つです。砥粒には、いわば刃物としての役割があります。それが砥石を触ったときのザラザラとした手触りの理由となっています。また、結合剤には砥粒の脱落タイミングなどを調整する役割があり、そして、気孔には削りかすを排出する役割があります。
金属は、空気や水に触れることで錆が発生します。金属の取り扱いは錆との闘いと言っても過言ではないでしょう。イオン化しにくい金属は錆にくい性質をもっていて、その代表は金。一方、鉄や銅は錆びやすい金属です。錆が発生した場合は、錆取り剤やクエン酸ステンレスたわしなどで取り除ける場合があります。
しかし、そもそも錆びないように加工しておくことが大切です。特にメッキ加工や電解研磨は錆対策に有効な一手となるでしょう。
RoHS指令は、EU圏で定められている製品に含有する有害物質の濃度制限です。日本国内だけで販売される場合は関係ないルールですが、グローバル化した企業活動において、製造したものがEUで販売される製品の部品に使われるなど、無関係ではいられないのが現状でしょう。RoHS指令は、一部の例外を除き、電化製品全般に適用されます。
また、製品に含有される化学物質に関する情報を登録するルールとしての「REACH規則」についても押さえておかなければいけません。
研磨作業をする中で発生しやすいトラブルに「目詰まり」があります。目詰まりが起きると、切れ味が悪くなるだけではなく、加工対象物の焼けや変形などにもつながるため、研磨加工において目詰まり対策は重要なポイントとなるでしょう。目詰まりを防ぐには、適切な砥石を選定し、加工条件を調整する必要があります。
また、クーラントの確認も必須です。目詰まりが起こった場合は、ドレッシングによって切れ味のリフレッシュを試みましょう。
ステンレスは、錆が発生しにくい金属です。その種類は200種類以上もあると言われています。数が多いため、大きくオーステナイト系・フェライト系・マルテンサイト系の3つに区分されています。SUSで表記されるのが一般的で、「SUS304」など数字と組み合わせます。
ステンレスはSUSによって特徴が異なるため、適した用途で使うことが大切。耐食性、耐熱性、強度、値段などの特徴をSUSから判断し、適した場所で使用すると、ステンレスの良さが活かせるでしょう。
ミルスケールと呼ばれることもある黒皮は、高温でワークを成型すると生じる酸化被膜のことです。意図してつくるものではないため、その色合いや色むら、凸凹の手触りなどは、ひとつひとつ異なります。
この黒皮は、内側の鉄などにしっかりと密着しているわけではないため、下地には適していません。ブラスト処理や酸洗いなどといった方法で除去することが必要になります。特に、長期間にわたって保護したい鋼材の場合には、塗膜工程のまえに、しっかりと除去しておくことが大切です。
焼けというのは、金属に溶接加工をほどこした際に生じる、焦げたような跡のことです。焼けは、ステンレスなどの腐食を防ぐ効果がある不動態被膜を破壊してしまうため、 そのまま放っておくことはできません。
焼けを除去する方法としては電解研磨や酸洗いが挙げられます。前者の場合には、交流法と直流法があります。また、使用する電解液によって、中性電解法と酸性電解法にわかれます。それぞれのメリット・デメリットを把握して、適切な方法で焼け取りを行うようにしましょう。
湿式・乾式いずれの方法で研磨をおこなう場合にも、それぞれのメリット・デメリットがあります。前者の場合は、水や水溶性研磨油をかけて研磨をするため、研磨抵抗によって生じる熱を冷やすことが可能です。ただ、当然汚水が発生することになるので、その処理にかかるコストまで計算に入れておくことが大切です。
後者の乾式の場合は、砥石とワークさえあれば作業が可能であるという手軽さが大きなメリットです。ただ、水を使わないため、研磨抵抗による高温の影響を強く受け、焼けが発生しやすくなります。
研磨にはいくつかの手法があり、どの研磨手法で指定されているのかを表す「図面記号」が図面に記載されているケースがあります。研磨の図面記号は研磨、バフ研磨、ベルト研磨、バレル研磨、化学研磨、電解研磨、液体ホーニング、タンブリング、ラッピング、ホーニング、超仕上げの11種類。
ラッピング、ホーニング、超仕上げ以外の8種類の研磨タイプは、Surface Treatmentからとった「S」から始まる記号となっています。研削に分類されるラッピング、ホーニング、超仕上げの3つは「G」から始まる図面記号です。
湿式・乾式いずれの方法で研磨をおこなう場合にも、それぞれのメリット・デメリットがあります。前者の場合は、水や水溶性研磨油をかけて研磨をするため、研磨抵抗によって生じる熱を冷やすことが可能です。ただ、当然汚水が発生することになるので、その処理にかかるコストまで計算に入れておくことが大切です。
後者の乾式の場合は、砥石とワークさえあれば作業が可能であるという手軽さが大きなメリットです。ただ、水を使わないため、研磨抵抗による高温の影響を強く受け、焼けが発生しやすくなります。
研磨加工の工具はラップとポリシャの2種類あります。ラップはラッピング用工具のことで、ラッピングは研磨剤を含む状態ですり合わせを行い、加工物を微小切削しながら研磨する加工方法のことです。ラップには高い寸法精度・形状精度が求められます。
ポリシャはポリシング用工具のことで、ラッピング加工された面を滑らかに仕上げる鏡面研磨法のこと。必要に応じて、加工変質層を除去します。ポリシャは軟質で弾みやすい素材を用いるのが一般的です。
研磨加工が始まったのは今からおよそ1万年前の新石器時代です。1900~1925年頃の研磨加工黎明期、1926~1950年頃の研磨加工成長期、1951~1975年頃の研磨加工展開期を経て現在に至ります。次のページでは、研磨加工がどのように進展してきたのかを解説します。
光ファイバーケーブルは光が通過するコア部分を対向させる必要があります。適切な方法で接続されないと接続損失が発生してしまうためです。光ファイバーケーブル同士を隙間なく接続するためには、研磨を施す必要があります。
光ファイバーケーブル研磨の種類は4つ。PC研磨、SPC研磨、UPC研磨、APC研磨があります。それぞれ反射減衰量やコネクタ同士の接続互換性が異なるため、用途・ニーズに合った研磨方法を選択しなくてはいけません
研削焼けとは工作物や砥石の表面が焼けてしまう現象のことを指します。原因は多岐にわたりますが、根本的な原因は砥石の切れ味が悪くなることです。主に目詰まりや目つぶれ、研削液の選定の失敗や不足、結合剤が硬すぎること、回転数や送り速度が適切でないことなどにより起こります。
研磨加工におけるビビリとは、工作物の仕上げ面にまだらな斑が発生する現象のことです。原因は機械の振動による揺れや砥石の精度の低さ、目詰まり、目つぶれ、ベルトの厚みが不均一であること、砥石の粒度が粗すぎることなどであり、原因ごとに発生するビビリの状態も変わります。
対策には原因を解消することが重要となるため、研磨会社には研削盤の揺れを軽減するための工夫や、砥石の適切なメンテナンスが求められます。
精度不良とは研磨加工において、真円度と円筒度が不良になることを指します。精度不良が起こる理由は研削の方法により異なりますが、砥石の選定を間違えていることや研削液が不足していること、研削作業が適切に行われていないことなどが原因です。
研磨会社は対策のために、クイル材質など剛性の高い砥石を使ったり、適切な結合剤を選択したりすることが重要とされます。また研削盤による精度不良を軽減するには、メンテナンスをして適切な状態に保つことが大切です。
スクラッチとは研磨加工において、工作物の表面にできる引っかき傷のことです。スクラッチは研削物の切粉であるスラッジや脱落した砥粒により発生する他、目詰まりでも起こりやすくなります。
予防のための対策として研磨会社に求められることは、クーラントを定期的に交換してスラッジや砥粒をきれいに洗い流せる環境を維持すること、砥石をドレッシングして目詰まりを防ぐことなどです。
面粒度不良とは、工作物の表面の粗さがきれいに出ない現象のことです。目こぼれや目詰まり、研削液の劣化や不足で起こることもありますが、鋳造において砂型の砂の粒度が粗すぎるため、そのまま表面の粗さにつながるケースもあります。
表面の粗さをきれいに表現するには、研磨の前に仕上げ削りを行い、研磨では適切な砥石を選定し、新しく十分な量の研削液を用いて研磨することが対策法として有効です。
旋盤とは、金属など素材を加工できる機械です。鉄、アルミ、ステンレス、真鍮(黄銅)、鋳物、樹脂といった多くの素材に対応しており、その加工法もさまざまであることから、多くの業界で使用されています。特に円形加工に適していますが、ネジ加工や溝・穴あけ加工にも対応しています。
多くの汎用性を備え持つ機械であることから、選定の際には対象となる加工品の想定だけでなく、そのほかの用途や使用の可能性も踏まえて検討しましょう。このページでは旋盤の基礎知識から、具体的な機種の選定について紹介します。
研磨加工へのAI導入については、かねてより、その作業の精密さから「AIの導入は難しい」といわれてきた背景があります。しかし研磨業界における人手不足や後継者不足、技術者の高齢化など、今後の国内外における品質保証や競争力の観点から、AIやロボットの導入開発が急ピッチで進んでいます。ここでは他の製造業におけるAI導入の事例や、研磨加工におけるAIの意義にについて紹介します。
2015年の国連サミットで「SDGs」が提唱されたことで、多くの企業がその取り組みにチャレンジしています。研磨加工業界でもその取り組みの動きが広がっており、企業ごとに事業活動を通しての持続可能な社会への貢献が必要とされています。ここではSDGsの概要から、研磨加工業界におけるSDGsの取り組み事例について紹介します。
研磨工程には人の目や感覚での確認が必要とされる工程があり、研磨会社での自動化は難しいとされてきました。しかし現在ではエアマイクロセンサやロボットにより、研磨工程の自動化を成功させるためのシステムも存在しています。特に自動化が難しいと言われるNC平面研削盤でも自動化は可能で、システムを用いることにより人材不足解消・人件費削減・製品の精度アップなどの恩恵を受けられるはずです。ここでは研磨工程の自動化について詳しく紹介します。
研磨会社で研磨・研削の業務を行うには、特別教育の受講と資格の取得が必要です。研磨・研削作業は「危険又は有害な業務」に定められており、労働安全衛生法により特別教育の受講が義務付けられています。研磨・研削のための資格は「研削といし取替試運転作業者」と「切削工具研削技能士」の2種類で、初めての方に必要なのは「研削といし取替試運転作業者」の特別教育受講と資格取得です。ここでは研磨・研削を行うために必要となる資格についてご紹介します。
研磨・研削作業における抵抗とは、工作物が砥石を押し戻す力のことで、「背分力」と「主分力」の2つの力の作用により起こります。抵抗力は砥石の集中度や砥粒の形、突き出し高さや目詰まり状態などさまざまな要因により起こりますが、抵抗力が原因となり切残しができたり、形状や寸法に狂いが生じたりすることもあるため、研磨・研削作業では注意するべきポイントのひとつです。ここでは研磨や研削の抵抗力についての概要と、起こる要因を解説します。
超精密研磨とは、最大で1/1000μmの細かな精度を目指す加工技術のことです。精密機械部品・半導体ウエハ・カメラ・レンズなどの加工品を製造するためや、その製造のための工具・金型造りのために活用されます。超精密加工技術には「超精密研磨」「超精密研削」「超精密切削」の3種類があり、超精密な精度を持つ研削・切削では研磨工程を必要とせず鏡面加工をすることも可能です。ここでは研磨・研削・切削と3種類の超精密加工技術について解説します。
IoTは、これまでインターネットに接続されていなかったモノがインターネットに接続されて通信を行う仕組みです。未活用だったデータを活用することで、事業の生産性を高めることなどができます。例えば、工場内の機器をインターネットで接続して稼働状況を可視化することなどが可能です。IoTの導入は、研磨加工の工場でも始まっています。事例を交えてIoTを用いた研磨加工について解説します。
3Dプリント造形物の主な強みは、設計・製作にかかる期間やコストを大幅に削減できる可能性があることです。従来の方式にはない強みがあるため、現在ではさまざまな目的に使用されています。普及とともに3Dプリント造形物に対する研磨加工のニーズも高まっています。ここでは、3Dプリント造形物の目的と強み、3Dプリント造形物に対する研磨加工の事例を解説・紹介しています。
研磨加工でステンレスなどの表面にデザインを施すことができます。デザインの主な目的は、意匠性と機能性を高めることです。例えば、表面に規則性のある研磨ラインを施し上品な印象に仕上げる、光の反射を抑えて傷を目立たなくするなどが考えられます。研磨加工によるデザインには、さまざまな種類があります。デザインの種類により、製品の印象や機能性は異なります。ここでは、研磨加工によるデザインの特徴を解説します。
研磨加工を行うときに、機械に設定する条件を研磨条件あるいは機械条件といいます。期待する結果を得るため、研磨条件を適切に設定することが重要です。設定を誤ると想定通りに機械が動作しないため、研磨を上手く行えない恐れがあります。具体的な研磨条件は、使用する機械で異なります。設定する項目として、周速度・パス回数などがあげられます。ここでは、研磨条件の概要について詳しく解説しています。
研磨加工や研削加工では、砥石と対象物との間に加工点と呼ばれるポイントが生まれます。摩擦などで強い力が加わり高温になると、対象物の素材や加工方法によっては熱・力が伝わり、そのエネルギーに耐えられず割れが生じることがあります。割れを予防するためには対象物の素材の特性を踏まえて、素材に適した砥石を選び力のかけ方を工夫するなどの対策が必要になります。
研磨加工では、磨き出す過程で切り粉や粉じんが発生します。加工作業の場合、ちりやくずと同時に火花も発生するため、火災が起こらないように注意しなければなりません。ちりやくずは「集塵機」と呼ばれる機械で吸い込みますが、作業効率や安全性を考えると火花や火災対策が行えるもの、溜まったごみを効率的に回収し処分できるように設計されているものを選ぶ必要があります。
研磨加工では、加工精度を一定に保ち品質を維持するために、加工の前後で検査が欠かせません。検査では砥石の状態、研磨や研削を行う対象物の表面部分の画像を詳細に解析する必要があり、三次元測定機やマイクロスコープが用いられています。高精度の検査機器を使用して製品の表面形状・粗さを解析することに加えて、検査を担当する技術者にも一定の技術とノウハウを持っている必要があります。
研磨加工は対象物の用途に応じて高い精度で磨き上げを行う必要があります。すでに日本国内ではロケットや人工衛星などに用いられる部品について、すぐれた研磨加工の技術をもつ会社が加工や改善に携わっています。JAXAの「はやぶさ」に使われる部品への加工を行ったケースや、アメリカNASAのプロジェクトに携わっている会社も広く知られており、航空宇宙産業分野への研磨加工技術はさらに精度を高めています。
研磨加工の納期の目安は1~4週間程度です。ただし、実際の納期はケースにより大きく異なります。例えば、数日程度ですむこともあれば数カ月かかることも考えられます。納期に幅がある理由は、発注のタイミングにより研磨加工機の稼働状況が異なるうえ、具体的な加工内容や事業者の考え方などにも違いがあるからです。したがって、発注から納品までの流れを押さえたうえで、個別に確認を取ることが重要といえるでしょう。
焼入れは、金属の性質を変化させる熱処理方法のひとつです。具体的には、組織変化が起こる温度まで加熱してから冷やす方法を指します。焼入れの目的は、金属を硬くすることです。焼入れ後の硬さは、金属に含まれる炭素量などで決まります。また、焼入れを行うと金属が脆くなる点にも注意が必要です。したがって、金属に粘りを出す焼き戻しを併せて行うことが多くなります。ここでは事例とともに焼入れについて解説しています。
研磨加工の原理は、遊離砥粒方式と固定砥粒方式にわかれます。前者の2大原理とされるのがラッピングとポリッシングです。ラッピングは数マイクロメートル以上の砥粒を水や油に溶かした研磨材を用いて加工物の表面を平坦に仕上げる研磨法、ポリッシングは数マイクロメートル以下の砥粒を水などに溶かした研磨材を用いて加工物の表面を平滑に仕上げる研磨法です。ここではラッピングとポリッシングの違いについて解説しています。
研磨加工の原理(ラッピング・ポリッシング)についてについて詳しく見る
研磨加工の品質を決める条件として、測定機器と測定技術や恒温検査室の有無などがあげられます。これらが揃っている事業者は、研磨加工の品質を高めやすいでしょう。品質管理のポイントは、作業標準書の作成、各種設備のメンテナンス、適切な研磨方法の選択などです。例えば、メンテナンスを怠ると期待した精度を得られない恐れがあります。ここでは、研磨加工の品質を決める条件、品質管理のポイントを詳しく解説しています。
>当サイトでは「研磨会社」とGoogle検索してヒットした研磨加工会社42社(2023年8月21日調査時点)の中から、研磨に関する特許を取得している企業を対応できる素材別に3社を選出しています。